ハンドメイド作家は、いくらから確定申告が必要になるのでしょうか。そして、確定申告が必要になる場合、どのようなやり方で進めればいいのでしょうか。
まず、領収書やレシートを集め、確定申告向けのソフトに売上や経費のデータを入力します。つぎに、自動的に作成できた申告書類を税務署に提出します。
いろいろな作業が必要となるので、早めに準備を進めたいところです。そこで、ハンドメイド作家が確定申告をするときに集めておきたいレシートや書類、申告の進め方をまとめました。
本記事は、ハンドメイド作家が意識したい確定申告の条件と、その申告方法をご紹介します。
1. 確定申告はいくらから必要なのか
ハンドメイド作家にとって、確定申告は必要なのでしょうか。国税庁のホームページでは以下のように記載されています。
確定申告が必要な条件は次の通り。
- 会社員で副業の場合には、年間の所得が20万円を超える場合
- 専業主婦などの場合には、年間の所得が38万円を超える場合
勤務形態 | ハンドメイドの所得 | 確定申告 |
会社員 | 20万円を超えない | 不要 |
会社員 | 20万円を超える | 必要 |
主婦 | 38万円を超えない | 不要 |
主婦 | 38万円を超える | 必要 |
なお、所得とは、収入から必要経費を差し引いた「利益」となります。
従って、月の平均売上が10万円の売上げがあり、必要経費が6万円かかったとすると所得は4万円となり、年間で48万円となります。その場合、確定申告が必要となります。
季節によって、売上に変動があるかと思いますが、月3万円以上の所得がでてきた段階で、確定申告の準備を進めたいところです。
なお、確定申告をしないで、無申告がばれた場合には、無申告加算税が課されます。50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の加算となります。そのため、忘れずに申告したいところです。
【参考情報】 ・ 国税庁ホームページ 申告書の提出が必要な方
・ 国税庁ホームページ 基礎控除額
・ 国税庁ホームページ パート収入はいくらまで所得税がかからないか
・ 国税庁ホームページ 確定申告を忘れたとき
2. 確定申告のやり方
確定申告をする必要がある場合に、どのような方法、手順をとればいいのでしょうか。
確定申告をするには、次の6つのステップをとります。
それぞれの方法を詳細にご紹介します。
2.1 (経費となる)領収書やレシート
作品を作るのにかかった資材のレシートや領収書などを、経費として集めます。保管しておきたい領収書やレシートは次の通りです。
◆ ハンドメイド作家の経費の一例
- 食事代 (仕事の打ち合わせの食事代)
- 書籍代
- 材料費
- 制作に必要な道具代
- システム利用料 (マーケットプレイスなどの利用料、ホームページの利用料)
- 交通費 (イベント会場への移動費)
- 宣伝広告費 (ちらし、パンフレット、名刺などの作成費)
- 荷造り運賃(包装材料費、運送費)
- 水道光熱費(水道代、電気代、ガス代)
- 通信費(電気代、切手代、インターネット使用代、レンタルサーバーの費用)
- 作業着代
- 書籍代(作品作りに必要な書籍の代金)
- 販売手数料や決済手数料(クリーマ、ミンネ、BOOTHなど)
そのときに、プライベートに使ったレシートと、仕事で使ったレシートを分けることが重要となります。ハンドメイド作品に関わる出費は経費として計上します。
2.2 控除証明書
税金計算に有利になるように、所得控除となる書類を予め集めておきます。
たとえば、例年10月頃になると保険会社などから契約者に「控除証明書」が送られてきます。また、医療費の領収書も集めます。申告をすれば控除されますので、大切に保管します。
なお、医療費の領収書は個人の管理となります。紛失しないように気を付けましょう。
2.3 申告書
確定申告をするには、申告書類を受け取ります。そこで、申告書を税務署から入手します。申告書類を受け取る方法は、3つあります。
- 直接もらいに行く
- 郵送してもらう
- 国税庁のホームページからダウンロードする
ホームページでは、確定申告の仕方をマニュアルや手引、動画で解説しています。最近は、e-Taxというインターネットを使った電子申告という方法もあります。詳細は後述します。
2.4 確定申告用のソフト
経費や売上を計算し、申告します。帳簿を手書きしたり、電卓や手計算する方法もありますが、記入ミスや計算ミスなどが発生しやすくなります。
そこで、確定申告に関する知識がなくても、簡単に確定申告の書類を作れる確定申告用のソフトを利用します。なかには、無料で使えるソフトもあります。
◆ 代表的な確定申告用のソフト・アプリ
- やよいの白色申告オンライン (無料で利用できる)
- freee(フリー) (初心者向き)
- MFクラウド確定申告
(玄人向き)
確定申告用のソフトというと、とっつきにくいイメージがあるかと思いますが、簿記の知識がなくても使えるソフト・アプリもあります。
◆ やよいの白色申告の画面の例(項目の説明が豊富で、作業がしやすい)
なお、確定申告用のソフトやアプリの特徴や価格、選び方は別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ 白色申告のソフトを比較!おすすめなソフトはどれか
・ freeeの使い勝手と評判!使いやすい点・使いにくい点を徹底解説!
・ MFクラウド確定申告の使い勝手と評判!便利な点と不便な点
また、確定申告のソフトを使わずに、自分で帳簿を付ける場合には、別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ ハンドメイド作家の帳簿の付け方!見本やテンプレート、無料アプリ
2.5 申告書類
確定申告のソフトで自動的に確定申告の書類を作成する機能などがあります。そのソフトのガイダンスに従って申告書類を作成します。(上の図のイメージは、MFクラウドという確定申告ソフトになります。)
ほかにも無料で利用できる確定申告のソフトもあります。ソフトの機能・料金・使い方などは、別記事をご覧ください。
【参考記事】 ・ 白色申告のソフトを比較!おすすめなソフトはどれか
2.6 税務署
申告書類がそろったら、税務署に提出します。提出方法は3通りあります。
- 税務署に持参する
- 郵便や信書便で提出する
- インターネットで提出する
2.6.1 持参
税務署内に相談コーナーなども設けられているので、申告書の書き方が分からない場合には質問できます。また簡単ではありますが、記入漏れをチェックしてもらえます。
2.6.2 郵便や信書便
税務署に行けない場合などは、通信日付印(郵送の場合、消印)が押された日が提出日とみなされます。書留の郵便で送れば、郵送の証拠が残るのでオススメします。
【参考】 国税庁ホームページ 税務手続き関する書類の提出期限
2.6.3 インターネット
自宅のパソコンから、インターネット(e-Tax)を使って申告をします。電子証明書の所得などの事前準備が必要となりますが、自宅から提出できます。
詳細はe-Taxのホームページをご覧ください。 → e-Taxの確定申告書等作成コーナー
なお、e-Taxを使う場合には、事前に準備(電子証明書とICカードリードライターの用意など)が必要となります。詳細はe-Taxのホームページをご覧ください。 → e-Tax事前準備の流れ
まとめ
本記事は、ハンドメイド作家にとって、確定申告の必要な条件と、その申告の仕方をご紹介しました。
おさらいをすると、次の手順で準備を進めます。
- 領収書やレシートを集めます
- 控除証明書を集めます
- 申告書を税務署から入手します(国税庁のホームページ)
- 確定申告用のソフトに入力します(やよいの白色申告、freee、MFクラウド確定申告
)
- 申告書類を自動で作成します
- 税務署に提出します
なお、本記事で掲載されている内容は一般的な内容となります。そのため、置かれている状況によっては異なる見解になる場合もあります。税金に関する疑問は、税務署でも丁寧に答えてくれますので、所轄の税務署にお問合せしていただくことをおすすめします。
本ブログでは、ハンドメイド作家として販売や運営に役立つ情報を別記事にまとめています。
【参考記事】 ・ ハンドメイド作家の開業!後悔しないために必要な11の知識
・ ハンドメイドのサイトを比較!販売サイトを選ぶのに必要な知識
・ ハンドメイド作品の販売方法!知らないと損をする5つの売り方
・ ハンドメイド作家必見!ショップカードの作り方
ご参考になれば幸いです。
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Writer/編集者: 松田康