美容室を開業するには、どのような手順で始めればいいのでしょうか。
店舗のコンセプトや方向性を検討し、事業計画を考えます。そして、資金調達や店舗デザイン、集客、人材の採用を検討します。さらに、保健所の検査や開業届なども準備したいところです。
そこで、美容室を開業するために必要な作業のステップをまとめました。
本記事は、美容室を開業する流れと12の手順をご紹介します。
美容室の開業までの12の手順
美容室を開業するには、どのような流れで準備を進めればいいのでしょうか。開業までに必要な手順をリストアップしてみました。
- 店名を決める
- 事業計画書を作る
- 開業の費用を見積もる
- 物件を選ぶ
- 店舗のデザインを決める
- ホームページを用意する
- チラシを作る
- ショップカードを作る
- 求人を始める
- 保健所へ申請をする
- 開業届を提出する
- レジを導入する
それぞれを詳細にご紹介します。
1. 店舗の名前
美容室を開業するにあたって、お店の名前を決めます。
読みやすい名前のほうが覚えやすく、集客しやすくなります。そこで、次の3つのポイントを押さえます。
- 長すぎず、読みやすい名前にする
- 英語ではなく、カタカナ読みできる名前にする
- 同業者が使っていない名前にする
インターネットなどで検索をして、同業者が使っていない名前を選びます。なお、特許情報プラットフォームというツールを利用することで類似の名前の有無を確認できます。
自分がいま考えている名前を入力し、検索ボタンを押すと、類似の名前が商標として登録されていないか、その結果が表示されます。
2. 事業計画書
美容室を開業し、成功をするためには、事業計画書は欠かせません。事業計画書を作るメリットは2点あります。
- どのような美容室を作るのか、方向性を明確にできる
- 金融機関から融資を受けやすくなる
事業計画書を作るときには、日本政策公庫が提供する創業計画書が便利です。
【出典】 日本政策金融公庫 創業計画書 (美容業)
事業計画書に欠かせないポイントが記入例とともに載っており、どんなポイントを押さえておく必要があるのか明確になります。
創業計画書 (創業計画書 美容業を選びます)
3. 開業費用
美容室を開業するにあたり、開業費用にいくらかかるかを見積る必要があります。開業時にかかる費用をリストアップしてみました。
◆ 開業費用
項目 | 費用 |
保証金(敷金) | 円 |
店舗礼金 | 円 |
不動産仲介手数料 | 円 |
前払い家賃 | 円 |
保証会社支払い | 円 |
内外装の工事費 | 円 |
店舗の什器(セット椅子・シャンプー台、加湿器、スチーマー) | 円 |
店舗の設備(洗濯機、乾燥機) | 円 |
店舗の備品(レジスター、電話、パソコン) | 円 |
広告宣伝費(ホームページ、DM、ショップカード) | 円 |
人材採用費 | 円 |
消耗品(薬剤、パーマロッド、刷毛、カップ、クロス) | 円 |
なお、大まかな開業費用は、創業計画書では1,000万円としています。
なお、開業費用のうち、自己資金で不足している分は、金融機関から融資を受ける必要があります。前述した日本政策金融公庫は、政府系の金融機関で、安心感があります。
無担保・保証人不要の融資制度もあるので、融資してもらえるか相談してみたい金融機関です。
4. 物件
不動産の物件を探すときには、2つのタイプの物件があります。
- スケルトン: (内装や水回りが)すべて撤去された状態
- 居抜き: 前のテナントの内装が残っている状態(シャンプー台やエアコンなど)
スケルトンと居抜き物件のメリット・デメリットをまとめました。
物件 | メリット | デメリット |
スケルトン | ・自由にデザインができる | ・工事の費用が高くなりやすい ・工事の期間があるため、時間がかかる |
居抜き | ・内装・器具などの費用が削減できる ・短期間でオープンできる |
・思っていたデザインにならない場合がある |
居抜き物件は前のテナントが使っていた設備を使えるため、工事費を減らせる可能性があります。一方、備品を使用している年数が長いと、修繕費がかかる場合もあります。
そこで、物件を探すときは、現地調査を行って、内装や設備、レイアウトなどを伝えて、物件を探したいところです。
なお、美容室の物件を探すときには、サロン不動産ネットが便利です。
美容室の居抜き物件を掲載しているサイトです。700件以上の居抜き物件が掲載されています。
5. 店舗設計のデザイン会社
店舗を作るためには、店舗を設計するデザイナーや工事業者に店舗作りを依頼します。店舗の設計から施工までには次のような流れになります。
- 物件を探す
- コンセプトを決める
- 店舗のレイアウトを決める
- 店舗のデザインや設計図を作る
- 施工をする
【出典】 理美容ニュース
また、美容室を開業する場合には、電気・ガス・水道の使用量が多いため、その容量を考慮にいれて設計する必要があります。また、保健所の許可も必要となります。
そのため、美容室のデザイン・工事に実績のある業者に依頼したいところです。
【出典】 東京都福祉保健局 美容室の手引き
6. ホームページ
美容室で集客をするにあたって、ポータルサイトへの登録は欠かせません。そこで、各ポータルサイトの集客力や料金プランを比較して、選びたいところです。
◆ ホットペッパービューティー
日本最大級の検索・予約サイトです。メニューや料金プラン、口コミをチェックして、気になるスタイリストを直接指名できます。
◆ 楽天ビューティー
楽天市場が運営する予約サイトです。掲載における固定費用は0円で、予約件数に応じて広告費用が決まる成果報酬型の料金体系です。
なお、美容室の集客をするにあたって、予約サイト以外に、自分のサロンのホームページも作りたいところです。ホームページでは、次のような情報を発信します
- サロンの特徴
- 店内の雰囲気
- スタッフの情報
- メニューと料金
- アクセス
ホームページを制作するときは、業者に依頼をすると費用がかかります。一方、自分で無料でホームページを作れるツールがあるので、挑戦してみたいところです。
◆ Wix
世界で1憶人近いユーザーが利用しているホームページ作成ツールで、無料で作れます。美容室向けのテンプレートもあります。
◆ 基本情報
- テンプレート: 700種類
- 料金: 無料~
- サポート: メール
【参考記事】 ・ Wixのメリットとデメリット!使い方、デザイン、料金、セキュリティ
◆ グーペ
最短1日で作れることを売りにしているホームページ作成ツールです。テンプレートが用意されているので、好みのデザインを使って、ホームページを作れます。
◆ 基本情報
- テンプレート: 37種類
- 料金: 1,000円~
- サポート: メール
【参考記事】 ・ サロン・美容室の予約システムおすすめ10選を比較(無料あり)
・ グーペの使い勝手と評判!メリットとデメリットを徹底解説
・ グーペとWixを比較!選ぶ前に知りたい5つの違い
7. チラシ
美容室の販促に向けて、チラシを作って、店の前に置かれた立て看板などに設置して、自由に持って帰れるようにしたいところです。
なお、チラシを作るときには、テンプレートを利用すると簡単に作れます。
印刷通販のラクスルが提供するテンプレートでは、美容室関連で60種類のテンプレートがあります。好みのデザインを選び、文字や写真を差し替えることで簡単にチラシが作れます。
8. ショップカード
美容室の集客をするときに、ショップカードも欠かせません。
2回目、3回目と来店するごとに、特典を用意することで、来店を促します。さらに、紹介時のキャンペーンなどを付けることで、友達や家族を紹介してもらえます。
なお、ショップカードを作るときも、テンプレートが便利です。
ラクスルのテンプレートでは、スタンプカードや友達紹介カード、メンバーカードなど、さまざまショップカードのテンプレートがあります。
9. 求人
美容室で優秀なスタッフを集めるためには、次の4つの採用方法を検討する必要があります。
- 求人サイト
- 専門学校
- 人材紹介会社
- 友人
◆ re-quest
美容師求人サイトの大手で、月の利用者数は15万人以上います。掲載費用がかかります。
◆ 美プロ
美容業界における求人を掲載できます。18,000社の実績があります。掲載料金がかかります。
◆ リジョブ
美容師のお仕事情報を掲載できます。総会員数は40万人います。掲載料金は安い代わりに、成果報酬の料金が発生します。
10. 保健所
美容室を開業するためには、保健所へ届け出をして、開設を申請する必要があります。保健所が指定する書類を提出して、立入検査を受け、検査基準をクリアしなければいけません。
【出典】 東京都福祉保健局 美容室の手引き
11. 開業届
自営業として、美容室を開業するときには、税務署に開業届を提出する必要があります。そこで、店舗の所在する税務署に、開業届を提出します。
なお、開業届を提出するときには次のような書類を提出します。
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- 所得税の青色申告承認申請書
- 給与支払い事務所等の開設・移転・廃止等届出書
- 青色事業専従者給与に関する届出書
- 個人事業開始申告書
なお、各書類の提出方法については、別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ 美容室の開業届!保健所、税務署への提出書類の一覧と書き方
12. レジ
美容室を運営していくうえで、レジを導入しておきたいところです。iPadやiPhoneなどのタブレットやスマホのアプリで、手軽に導入できます。
◆ スクエア
スクエアは、SuicaやPasmoなどの電子マネーに加えて、クレジットカード決済ができます。いつ、だれが、何のメニューを利用したかという顧客管理から、スタッフの勤怠まで管理できます。
決済手数料が発生しますが、固定費は無料のため、手軽に導入できます。
◆ エアレジ
ホットペッパービューティーを運営しているリクルートが提供するレジアプリです。エアレジは、iPhoneやiPadがあれば、無料で利用できます。さらに、Airペイというアプリと連携することで、クレジットカード、QRコード決済、電子マネーに対応できます。
それぞれの詳細は別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ エアレジとスクエアを比較!選ぶ前に知りたい6つの違い
まとめ
本記事は、美容室を開業する方法とその手順をご紹介しました。
なお、起業に関する情報や、キャッシュレス決済の導入方法、ホームページ制作に関する相場などの情報を別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ 起業前のチェックリスト! 絶対に準備しておきたい15のこと
・ 自営業の始め方!職種や屋号の決め方、開業届、確定申告、税金の11の知識
・ キャッシュレス決済サービスの比較とおすすめ32選!(比較表)
・ サロン・美容室の予約システムおすすめ10選を比較(無料あり)
・ ホームページの制作・作成料金!相場と費用の内訳(2020年料金表)
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Writer/編集者: 松田康