個人事業主が請求書を作るときには、どのようなポイントを押さえる必要があるのでしょうか。
宛名や日付、請求番号や支払期日や消費税などを記載し、請求書を作る必要があります。請求書を作るときには、無料で利用できるテンプレートや見本が便利です。
本記事は、個人事業主が気を付けたい請求書の書き方と見本・テンプレートをご紹介します。
【参考文献】 個人事業の経理と節税〈’14年版〉―フリーランス・自営業者
青木 茂人 (著) 2014年
1. 請求書の作り方
請求書はそもそも、なぜ必要なのでしょうか。
個人事業主にとって、請求書は取引や入金管理、そして節税に欠かせないものです。しかし、書き方がわからないと、トラブルに繋がる可能性もあります。
そこで、お客様に対して、商品を納めた後に、代金の支払いを依頼するために請求書を作ります。 請求書を作るときには、次の3つのポイントを押さえたいところです。
それぞれを詳細に説明します。
1.1 請求漏れ
請求書漏れは、売上の損失だけでなく、顧客とのトラブルにも繋がりかねません。特に、個人事業主の場合は、請求書の発行を忘れたり、誤った内容で発行しがちです。
そこで、請求書を作るときには請求漏れがないように気を付けます。そのためには、日頃からお客様別に注文書や納品書のコピーなどを照合し、ミスがないようにしておきます。
なお、お客様に納品をしたが、請求を忘れてしまった場合、いつの間にか請求できる権利が時効として消滅してしまう場合があります。
国民生活センターのホームページにわかりやすい解説があるので、ぜひご覧ください。
【参考記事】 ・ 国民生活センター 誌上法学講座 消滅時効
1.2 記入ミス
請求書の記載内容が誤っていたり、記入漏れがあるために、支払いが遅れることがあります。そこで、注文書や納品書と照合をして、記入内容に誤りがないことをチェックします。
こうしたミスを減らすため、請求書を管理するツールが便利です。見積書や納品書、あるいは過去の請求書をもとに、請求書を自動的に作成することで、記入漏れを防げます。
【参考記事】 ・ 請求書のクラウドサービスを比較!5つのポイントで検証
1.3 締日
請求書を作成するにあたっては、取引先ごとに締日に合わせることが大切です。たとえば、「締日が月末、支払日が翌々月の10日」の場合、5月末付けで請求書を発送すれば、7月10日に代金の振込が完了することになります。
なお、締日、支払日、支払い方法は会社によって異なります。そこで、取引先別の名簿を作ることをお勧めします。
2. 請求書の書き方
請求書を書くときには、次の9点をチェックします。
それぞれを説明します。なお、国税庁のホームページでも請求書に掲載すべき情報が明記されています。
【出典】 適格請求書等の記載事項
2.1 宛名
請求書の左上にお客様の名称である宛名を記入します。また、担当者名が分かっている場合は、氏名も記入します。お客様が個人の場合には「様」を、お客様が法人の場合には、「御中」と付けましょう。
なお、宛名として、お客様の会社名に続き、部署名、氏名を書く場合には、「鈴木商事株式会社 営業部 鈴木太郎様」と書きます。
(正) 鈴木商事株式会社 営業部 鈴木太郎 様
(誤) 鈴木商事株式会社 営業部 御中 鈴木太郎 様
※ 御中と様は同時に使えません
2.2 請求書の発行者の名前
請求書を作成した氏名を記入します。屋号と代表者の名前、連絡先を明記します。
2.3 請求書の番号
取引案件ごとにユニークな番号を振ります。番号は、請求書の右上に記載します。お客様から問合せがあったときに、検索がしやすいので請求書の番号を振る様にします。
2.4 請求書の日付
請求書の日付は、受け取る顧客にとって、経理処理をするときに重要な情報となります。そこで、請求書の日付については、お客様に確認するようにします。
2.5 振込期限
振込先の口座の情報とあわせて、振込期限を書きます。ここに書いておかないと、支払いが遅れたときに督促しづらくなります。
なお、期限は、請求書発行日から30日以内が一般的です。
2.6 請求書の内容(商品名、数量、単位、単価、金額)
取引先別に、受注書や納品書と見比べて、商品名、数量、単位、単価、金額を書きます。なお、請求書が何枚にもなる場合には、合計表を作成し、請求書の表に添付する方法もあります。
【出典】 国税庁ホームページ No.6625 請求書等の記載事項や発行のしかた
2.7 振込先の銀行口座
振込先の銀行名、支店名、口座の種類、口座番号、口座の名義人を記入します。 なお、銀行名と支店名に加え、銀行コードと支店コードを記載するとより親切です。
2.8 源泉所得税
仕事内容に応じて、源泉所得税を控除することがあります。源泉税を控除する義務は、お客様側にあるので、事前に控除するかどうかを確認します。
2.9 振込手数料
お客様に振込手数料を負担してもらう場合には、「貴社のご負担にてお願いします」と記入しておきます。
3. 請求書の見本・テンプレート
個人事業主向けに請求書の見本・テンプレートをワードでご用意しています。ご自由にダウンロードしてください。
請求書の見本・テンプレートをダウンロードする(ライター向け)
請求書の見本・テンプレートをダウンロードする(Webマーケッター向け)
請求書の見本・テンプレートをダウンロードする(データアナリスト向け)
請求書の見本・テンプレートをダウンロードする(イラストレーター向け)
また、上記以外にも、請求書作成ソフトのMisocaで無料で14種類のテンプレートを利用できます。
無料で利用できる請求書作成ソフトです。シンプルなテンプレートや、おしゃれなテンプレート、フリーランス向けのテンプレートなど、様々なテンプレートが用意されています。
他にも、MFクラウド請求書という無料で使える請求書作成ソフトも便利です。
窓付き封筒に対応していたり、改ページに対応しているテンプレートなど10種類利用できます。
【参考記事】 ・ Misocaの使い勝手と評判!便利な点と不便な点、料金を解説
・ 請求書のクラウドサービスを比較!5つのポイントで検証
4. 請求書の送り方
請求書を送るときには、郵送や、メールやFAXで送れます。 お客様が郵送を希望か、あるいはメールでいいかなど確認をしましょう。
なお、メールで送る場合には、改ざんされることを防ぐために、PDF形式で送るようにします。
5. 請求書の保管方法
請求書は発行後、保存する必要があります。原則、5年間保存することが義務付けられていますが 帳簿は7年保存することが求められているので、できれば7年間保存しておきましょう。
保存をするときには、ルーズリーフタイプのファイルに保管するほうが、あとでページの増減が可能なため便利です。その他の帳票の保存期間など、詳細は国税庁ホームページをご覧ください。
【参考記事】 国税庁ホームページ 記帳や帳簿等保存・青色申告
まとめ
本記事は、請求書の書き方と見本・テンプレートをご紹介しました。
おさらいをすると、請求書を書くときには、次の9つのポイントを記入します。
- 宛名
- 請求書の発行者の名前
- 請求書の番号
- 請求書の日付
- 振込期限
- 請求書の内容(商品名、数量、単位、単価、金額)
- 振込先の銀行口座
- 源泉所得税
- 振込手数料
なお、経理関連の作業を効率化する方法を別記事でまとめています。
【参考記事】・ 自営業の経理!ゼロから始める確定申告までの10の作業と便利ソフト
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Writer/編集者: 松田康