白色申告の帳簿テンプレートを活用して、税務申告の手間を減らしませんか。
テンプレートを使うことで、入力ミスや計算ミスを減らすことができ、必要な情報を簡単に整理できます。そして、効率よく確定申告の作業を進められます。
本記事では、国税庁のガイドラインに基づき、白色申告の基本から記帳方法、さらには効率的なテンプレートの使い方までを詳しく紹介します。
国税庁のガイドラインでは、PDFになっていたので、EXCELファイルにしています。使いたい方は、無料でダウンロードできますので、ご利用ください。
白色申告の帳簿テンプレートを活用し、税務申告の手間を削減しましょう。
1. 白色申告とは
日本における所得税の申告方法には、白色申告と青色申告の2種類があります。
項目 | 白色申告 | 青色申告 |
---|---|---|
記帳方法 | 単式簿記 (入ったお金と出たお金を記録) |
複式簿記 (お金の動きを二重に記録、詳細な財務状況) |
控除額 | 控除(*1)が少ない (特別な控除なし) |
控除が多い (最大65万円までの特別控除が可能) |
手続きの複雑さ | 手続きが簡単 | 手続きが複雑 |
*1: 控除: 税金を計算するときに所得から引ける金額
白色申告では、1日分の合計額で記帳できるなど、家計簿のようにシンプルな単式簿記を採用しています。これにより、青色申告に比べて経理作業が容易で、記帳や帳簿の作成もかんたんです。
たとえば、記帳に当たっては、一つ一つの取引ごとではなく日々の合計金額をまとめて記載するなど、簡易的な方法で記載してもよいことになっています。
(出典: 国税庁のホームページ)
一方、青色申告は、複式簿記というもっと詳細な記帳方法を使います。これは、お金の動きを二重に記録し、より正確な財務状況を把握できます。
なお、白色申告のデメリットは、青色申告に比べて利用できる控除が少ないことです。青色申告では最大65万円の特別控除を受けられますが、白色申告ではこのような特別控除はありません。
2. 白色申告の記帳をする方法(国税庁ガイドラインの要点)
国税庁のホームページには、「帳簿の記帳のしかた」と題されたガイドラインが掲載されており、白色申告の作業手順について詳しく説明されています。
(出典) 国税庁のホームページ 帳簿の記帳のしかた(事業所得者用)
ガイドラインでは、作業を進めるにあたって、3つのステップが紹介されています。
それぞれを詳細に説明します。
2.1 帳簿や関連書類の準備
国税庁の「帳簿の記帳のしかた」によれば、白色申告の記帳には、売上、仕入、経費などの関連書類を準備し、適切に保存することが必要です。
(出典) 国税庁のホームページ 帳簿の記帳のしかた(事業所得者用) P2
◆ 準備したい書類の例
分類 | 書類の例 |
売上 | 請求書、領収書、納品書、送り状 |
仕入れ | 領収書、請求書 |
経費 | レシート、領収書、請求書、クレジットカードの明細 |
入出金 | 銀行の取引明細 |
法定帳簿を7年間、その他の帳簿や関連書類を5年間保存する必要があります。
これらの書類は、事業運営に関する様々な取引の詳細を記録し、必要に応じて税務調査時に提出する可能性があります。
2.2 白色申告のテンプレート
次に白色申告の帳簿テンプレートに、取引の内容を記録していきます。
このステップでは、先に準備した帳簿や関連書類をもとに、取引の内容をテンプレートに記入していきます。テンプレートを使うことで、記帳の作業を効率化できます。
◆ 白色申告のテンプレート
国税庁の帳簿の記帳のしかた を参考にして、エクセルのテンプレートを用意しました。このテンプレートは、白色申告の情報を記録できます。
※ 無料でダウンロードできますので、ご自由にご利用ください
◆ テンプレートを利用するメリット
メリット | 説明 |
---|---|
誤りの防止 | 入力ミスや計算ミスを減らせる |
取引内容の整理 | 帳簿が整然と整理され、必要な情報を見つけられる |
時間の節約 | フォーマット作成の手間が不要になる |
なお、テンプレートを作成する際に参考にした国税庁の帳簿の記帳のしかたは、白色申告における帳簿の記帳方法を詳細に説明しており、白色申告を行う方にとって便利です。
(出典)国税庁のホームページ 帳簿の記帳のしかた(事業所得者用) P4
(出典)国税庁のホームページ 帳簿の記帳のしかた(事業所得者用) P5
2.3 白色申告のテンプレートの記入方法
前章でご紹介したエクセルのテンプレートの使い方について、さらに詳しくご説明します。
国税庁のガイドラインには、実際の記入例も紹介されており、これらの例を参考にすることで、テンプレートへの記入がより明確かつ簡単になります。
たとえば、売上を計上する際には、取引先の名前、金額、売上の合計金額を記入します。
(出典)国税庁のホームページ 帳簿の記帳のしかた(事業所得者用) P6
同様に、商品の仕入れ時には、仕入れ先の名称、商品名、仕入れの合計金額を記入します。これにより、仕入れに関する取引の詳細が明確になります。
(出典)国税庁のホームページ 帳簿の記帳のしかた(事業所得者用) P6
これらの記入例をテンプレートで記載しています。
◆ エクセルで作る白色申告の帳簿テンプレートの使い方
白色申告の帳簿テンプレートの使い方のポイントは以下の通り。
- 収入金額は「売上」と「雑収入等」に区分して記入
- 必要経費は「仕入」と「経費」に区分して記入
- 「経費」はさらに以下に区分して記入
- 給料賃金
- 外注工賃
- 減価償却費
- 貸倒金
- 地代家賃
- 利子割引料
- その他の経費
- 軽減税率対象取引には「摘要」欄に「※」記号を記入、欄外に「※は軽減税率対象」と明記。
- 小売の現金売上は日々の合計金額のみ一括記載
- 納品書・請求書により内容を確認できる取引は、日々の合計金額のみ記載
- 掛売上の取引は、代金受領時に現金売上として記載(年末に売掛金の残高記載)
- 棚卸資産の家事消費部分は年末に種類別合計金額を一括記載
(出典)国税庁のホームページ 帳簿の記帳のしかた(事業所得者用) P7
このように、国税庁のガイドラインに沿った記入方法を参考にしながら、テンプレートを活用してください。
3. 白色申告のアプリ4選(無料あり)
前章で、白色申告のテンプレートをご紹介しました。Excelで作成されたテンプレートなため、一つ一つの項目を手入力する必要があります。
その作業が手間の場合は、白色申告のアプリを使うのも一つです。メリットとして、以下の3点が挙げられます。
- 初心者にもわかりやすく、作業を進められる
- 自動計算により、入力ミスが減る
- クラウドのため、スマホでも作業ができる
なお、白色申告のアプリはおもに4種類あります。
それぞれを詳細にご紹介します。
3.1 白色申告オンライン
弥生株式会社が提供する白色申告ソフトです。簿記や経理の知識がない方でも安心して使えるように設計されていて、ガイド機能が充実しています。
また、白色申告に必要な入力項目だけのシンプルなレイアウトで、迷わずに作業ができます。
例えば、白色申告のアプリには、ガイド機能があるため、該当項目を選ぶだけで、自動的に取引データを作れます。
また、クレジットカードや銀行明細と連携して、自動で帳簿を入力する機能があります。取り込まれた明細データが表示されます。
白色申告の書類を作成する機能もあり、指示に従うことで、確定申告書を作成してくれます。
(出典) 白色申告オンライン
無料で利用できるので、気軽に挑戦してください。
◆ 料金プラン
無料
◆ 基本情報
- 確定申告書の作成・提出: ◯
- 取引の自動登録・自動仕訳: ◯
- 見積書・請求書などの作成と管理: ×
- 電子申告: ◯
- 青色申告への対応: ×
3.2 freee
大手のクラウド会計ソフトで、確定申告書の作成から提出までを一貫して行えます。レシートを撮影すると、金額・日付を自動で読み込んで登録する機能があります。
スマホのアプリでレシートを撮影し、アップロードをします。
取引された日付や金額などが登録をされ、作業がラクになります。
さらに、◯✕で質問に回答をします。
すべての質問に回答をすることで、自動的に確定申告の書類を作成できます。
1ヶ月間無料お試しができるので、使い方を確認してみることをおすすめします。
◆ 料金プラン
項目 | スターター | スタンダード | プレミアム |
---|---|---|---|
年払い料金 | 980円/月 | 1,980円/月 | 3,316円/月 |
月払い料金 | 1,480円/月 | 2,680円/月 | – |
確定申告書類の作成 | 白色・青色対応 | 白色・青色対応 | 白色・青色対応 |
確定申告書の提出 | 電子申告対応 | 電子申告対応 | 電子申告対応 |
明細取得 | あり | あり | あり |
見積書・請求書作成 | あり | あり | あり |
チャット・メールサポート | 基本サポート | 優先対応サポート | 優先対応サポート |
電話サポート | なし | なし | あり |
◆ 基本情報
- 確定申告書の作成・提出: ◯
- 取引の自動登録・自動仕訳: ◯
- 見積書・請求書などの作成と管理: ◯
- 電子申告: ◯
- 青色申告への対応: ◯
3.3 マネーフォワード
家計簿アプリのマネーフォワードが提供するクラウド会計ソフトです。確定申告書や収支内訳書などの書類を自動で作れます。無料で始められ、Macにも対応しています。
記帳をするときは、画面の指示に従って、日付、金額、取引内容を入力します。
繰り返し発生する取引は、自動的に勘定科目を割り当てるルールを設定し、効率化できます。
なお、確定申告書を作成するときは、作業手順に従って、処理を行います。
必要な事項を入力することで、確定申告書を作れます。
◆ 料金プラン(税抜き)
機能/プラン | パーソナルミニ | パーソナル | パーソナルプラス |
---|---|---|---|
月額料金 |
|
|
|
消費税集計機能 | × | ◯ | ◯ |
電話サポート | × | × | ◯ |
◆ 基本情報
- 確定申告書の作成・提出: ◯
- 取引の自動登録・自動仕訳: ◯
- 見積書・請求書などの作成と管理: ◯
- 電子申告: ◯
- 青色申告への対応: ◯
3.4 タックスナップ
スマホでレシートを撮影するだけで記帳ができる、シンプルな記帳アプリです。白色申告・青色申告に必要な帳簿や仕訳帳を、自動的に作成できます。
次のようなイメージで、レシートを撮影して、登録をします。
すると、AIが領収書を自動で読み取り、仕訳を作成してくれます。
カードや銀行口座とも連携可能で、スマホ1台で日々の帳簿づけが完結します。
記帳内容は自動で一覧表示され、確定申告書の資料が作られます。
◆ 料金プラン(2025年7月時点・税込)
プラン | かんたんプラン | あんしんプラン |
---|---|---|
月額料金 | 980円 | 2,180円 |
確定申告書の提出 | 〇 | 〇 |
税務調査リスクチェック | × | ◯ |
◆ 基本情報
- 確定申告書の作成・提出: 〇
- レシート撮影による仕訳登録: ◯
- 銀行口座・カード連携: ◯
- 帳簿のPDF/Excel出力: ◯
- 青色申告(簡易簿記)への対応: ◯
【参考記事】 ・ タックスナップの使い方と確定申告までの流れ【使ってみた感想つき】
4. 記帳の例(講師/ハンドメイド/物販など)
白色申告では、どの業種でも基本的な帳簿の付け方は共通していますが、取引の内容によって記帳のポイントが異なります。
ここでは、国税庁が発行する「帳簿の記帳のしかた」を参考にしながら、講師業、ハンドメイド作家、物販を営む方に向けて、記帳のポイント、例をご紹介します。
※以下の情報は、国税庁による業種別記帳マニュアルではなく、一般的な記帳原則をもとにした一例です。実際の取引内容に応じて、個別の判断が必要な場合は税理士等にご相談ください。
それぞれを詳細に説明します。
4.1 講師業・セミナー
個人で講演やセミナーの講師をしている場合、取引の内容はシンプルです。そのため、売上の記録や経費の管理が必要です。
主な収入例
- 企業や個人からの講演料
- セミナーの受講料
主な経費の例
- 会場費
- 交通費
- 資料印刷代
- Zoome等のオンラインツールのシステム利用料
記帳のポイント
- 講演1件ごとの記録でも、まとめて1日単位で記帳してもOK(ただし摘要欄に明記)
4.2 ハンドメイド作家
ハンドメイド作品をネットやイベントで販売している場合、商品の売上や材料費、販売手数料などの経費を正確に記帳することが重要です。
主な収入例
- minne、Creemaなどハンドメイドマーケットでの売上
- イベント出店時の現金売上
主な経費の例
- 材料費(布、ビーズ、糸など)
- 道具代(ミシン、工具など)
- 梱包資材費(箱、封筒、緩衝材など)
- 販売手数料(プラットフォーム利用料)
- 交通費、イベント出店料
記帳のポイント
- 販売手数料は売上から差し引かず、「経費」として別に記帳
- イベント当日の売上は「現金売上」として1日合計で記帳可能
4.3 物販(仕入販売)
仕入れた商品を販売する物販ビジネスでは、売上と仕入、在庫の管理が重要になります。
主な収入例
- ネットショップや実店舗での販売収入
主な経費の例
- 仕入原価
- 送料・配送料
- 販売手数料(ECサイト利用料など)
- 広告費(SNS広告、Google広告など)
- 倉庫保管費や梱包資材費
記帳のポイント
- 売上と仕入の記録のタイミングを明確にする(現金取引か掛け取引か)
- 年末の棚卸金額を記録して、原価計算に反映させる
まとめ
本記事では、白色申告に関する国税庁のガイドラインと、白色申告の書き方、テンプレートをご紹介しました。
おさらいをすると、求める内容によって、おすすめの情報やツールが変わります。
求める内容 | おすすめの情報・ツール |
白色申告を学びたい | 国税庁のホームページ、帳簿の記帳のしかた |
テンプレートをダウンロードしたい | 白色申告者の帳簿テンプレート |
テンプレートの使い方を学びたい | 帳簿の記帳のしかた |
無料の白色申告アプリを使いたい | 白色申告オンライン |
青色申告も視野にいれて、白色申告のアプリを使いたい | タックスナップ、マネーフォワード |
白色申告についてさらに詳しく知りたい方は、国税庁のホームページをご覧になることをお勧めします。国税庁のウェブサイトでは、白色申告の基本的な手順、必要な書類、控除の種類と計算方法、提出期限など、白色申告に関する包括的な情報が提供されています。
なお、白色申告のアプリについて詳細に知りたい方は、別記事でまとめています。
【参考記事】 白色申告のソフトを比較!おすすめのソフト3選を徹底解説【2025年】
複雑なITツールやAIサービスを、初心者目線でわかりやすく解説することをモットーに活動中。小規模企業向けにITツールの導入をしている知見をもとに、情報を発信しています。