フリーランスが確定申告をする場合、どのような手順で作業を進めればいいのでしょうか。
領収書や請求書、医療費控除などの必要書類を集め、帳簿を付けて、決算書を作ります。そして、確定申告書類に記入をし、税務署に提出をします。
なお、初心者向けの確定申告のアプリを使うと、ガイダンスがあるので、作業がスムーズです。そこで、フリーランスが確定申告をする前に知っておきたいポイントをまとめました。
本記事は、フリーランスが確定申告をする手順や便利なアプリなどの基礎知識をご紹介します。
1. 確定申告の種類
フリーランスが確定申告をする場合、青色申告と白色申告と2種類あります。国税庁のホームページにある資料では、青色申告と白色申告について説明があります。
資料によると、青色申告のほうが、税制的に優遇されており、主に3つのメリットがあります。
- 青色申告の特別控除として65万円の控除を得られる
- 家族への給与を経費にできる
- 赤字を翌年以降に持ち越せるので、翌年の黒字と相殺できる
さらに、年収600万円ある方を例にして、青色申告の場合と白色申告の場合で、税額がいくら変わるかをシミュレーションしています。
その結果、264,700円分税額が安くなると結論付けています。
【出典】 国税庁ホームページ はじめてみませんか青色申告 P5
青色申告は手間が多いと言われます。しかし、初心者向けの便利なアプリが発売されており、簡単に確定申告の作業に取り組めます。(後述します)
なお、白色申告で構わないとお考えの場合は、白色申告向けのソフトについても別記事でまとめています。
【参考記事】 白色申告のソフトを比較!おすすめのソフト3選を徹底解説
2. 青色申告の事前準備
青色申告をするには、事前準備として青色申告承認申請書を税務署に提出する必要があります。
確定申告を青色申告で行う場合には、その年の3月15日までに税務署に提出する必要があります。なお、新規に開業する場合は、開業日の2か月以内に提出します。
区分 | 提出期限 |
原則 | 青色申告の承認を受けようとする年の3月15日 |
新規開業 | 業務を開始した日から2か月以内 |
【出典】 国税庁ホームページ 青色申告制度の概要
そのため、まだ提出していない方は、今年の確定申告は白色申告で行います。そして、来年から青色申告をできるように、3月15日までに青色申告承認申請書を税務署に提出しておきます。
なお、所得税の青色申告承認申請書は、国税庁ホームページからダウンロードできるので、ぜひご覧ください
また、本年は白色申告行う方は、白色申告向けのソフトを別記事でまとめているので、ご参照ください。
【参考記事】 白色申告のソフトを比較!おすすめのソフト3選を徹底解説
3. 領収書、請求書
確定申告をするためには、1年間に生じた所得を正しく計算する必要があります。そのため、日々の売上や費用について、記録を残していく必要があります。
確定申告をするためには、領収書や請求書、納品書などを集めていきます。領収書は確定申告をするため欠かせないアイテムといえます。
また、これらの文書は5年間あるいは7年間の保管が義務付けられています。
そのため、領収書などをA4のコピー用紙や大学ノートなどに貼り付けて管理しておきます。
特に、自分の仕事をするうえで必要な出費に関する領収書を集めておきます。
◆ 例
- 携帯電話代
- インターネットの通信代
- 電車代(券売機の乗降記録があり、どれが仕事に使ったか区別できるもの)
- 名刺の制作費、ホームページの制作費
- 事務用品代、10万円未満の備品
4. 所得控除に関する書類の収集
確定申告をする前に、所得控除に関する書類を集めます。例えば、次のような控除があります。
◆ 所得控除の例
所得控除の種類 | 内容 | 国税庁HP |
医療費控除 | 10万円以上の医療費を支払った場合に、一定金額を所得から控除される制度 | No.1120 |
社会保険料控除 | 家族分の健康保険料や国民年金保険料を支払っているときに、控除される制度 | No.1130 |
生命保険料控除 | 支払った生命保険料のうち、一部の金額を所得から控除される制度 | No.1140 |
寄付金控除 | ふるさと納税など、特敵の寄付で一定金額を所得から控除される制度 | No.1150 |
医療費控除の場合には、医療費控除の明細書などを提出するため、健康保険組合等が発行する「医療費のお知らせ」を添付します。
◆ 医療費控除の明細書
【出典】 国税庁のホームページ 医療費控除の明細書
◆ 年金の控除証明書
【出典】 日本年金機構のホームページ
◆ 生命保険料の控除証明書
【出典】 大同生命ホームページ 生命保険料控除制度に関するご案内
それぞれの書類を受け取ったら、大切に保管しておきます。
5. 支払調書
フリーランスの方で、原稿料やデザイン料などの支払いがあった場合に、クライアントから支払調書が送られます。
【出典】 国税庁のホームページ 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書の提出範囲
このなかには、支払金額と源泉徴収税額が記載されています。
【出典】 国税庁のホームページ 支払調書
通常、2月の第1週くらいに手元に届く予定なので、大切に保管しておきます。なお、2月の上旬を過ぎても届かない場合には、こちらから支払元に確認してみます。
6. 会計ソフトの入力
前章で集めた領収書や請求書をもとに、収入や支出の記録を残していきます。いまは、フリーランス向けに、初心者でも確定申告をしやすいソフトがあります。
◆ 代表的なソフト
これらの会計ソフトを使うことで、さまざまな帳簿を自動で作れます。なお、国税庁のホームページにも代表的な収入、支出に伴う取引の入力例が掲載されています。
【出典】 青色申告者のための貸借対照表作成の手引き P1
ご参考までに、それぞれのソフトの口コミをご紹介します。
◆ freeeの口コミ
https://twitter.com/yano_cchi/status/1264202463789252608 https://twitter.com/qtaroub/status/1247696020911210497
◆ MFクラウド確定申告の口コミ
https://twitter.com/oooka/status/1103556044209324032 https://twitter.com/kotobukujp/status/1103647635552985088
◆ やよいの青色申告の口コミ
https://twitter.com/pictron2009/status/1265495959020220416 https://twitter.com/maoppachi/status/1232290534250577920
7. 確定申告書類
青色申告をする人は、青色申告決算書を提出します。国税庁ホームページからファイルをダウンロードして使うこともできます。
【出典】 国税庁ホームページ 確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書
なお、前章で紹介した会計ソフトには、確定申告書類を作成する機能があります。そのため、ソフトの機能を使って、確定申告書類を作るほうが楽です。
8. 確定申告書類の提出
確定申告書類を提出するには3つの方法があります。
- 税務署に直接提出する
- 税務署へ郵送する
- 電子申告で申告する
申告をするときに不安のある方は、税務署に直接持参をしたほうが確実です。確定申告の無料相談コーナーなどもあり、税務署職員と相談をしながら、書類を作れます。
一方、時間に余裕のない方や、税務相談などで提出書類の確認が済んでいる方は、郵送が便利です。郵送の場合には、提出期限は、3月15日の消印が有効です。
【出典】 国税庁ホームページ 申告書の提出
また、電子申告は、国税庁のホームページからダウンロードできるe-taxを使って、自宅から確定申告を行う仕組みです。
システムを使うためには、電子証明書を使う必要があるため、手間がかかります。事前に余裕をもって、使うための準備や手順などを確認したいところです。
【出典】 国税庁のホームページ e-Tax
まとめ
本記事は、フリーランスが確定申告をする手順や便利なアプリなどの基礎知識をご紹介しました。なお、確定申告に便利なアプリなど役立つ情報を別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ 確定申告におすすめの会計ソフト6選を比較!無料、初心者向き、青色申告
・ 請求書の書き方(個人事業主向けの見本・テンプレートつき)
・ 現金出納帳の書き方と記入方法!見本やテンプレート、便利なソフトを紹介!
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Writer/編集者: 松田康