個人が輸入ビジネスを始める場合、どのようなステップを踏めばいいのでしょうか。
海外で仕入れて日本で売る場合に、商品の発掘や配送方法の選択、商品の輸入や税関・通関手続き、商品の受け取りから販売など、いろいろな作業があります。
そこで、個人の初心者が輸入販売を始める前に知っておきたいポイントをまとめました。本記事は、個人で輸入ビジネスを始める手順や、起業の手続きをご紹介します。
これから個人輸入を始めたい人、副業で個人輸入を始めたい人、個人輸入で利益を上げたい人におすすめの記事です。
個人で輸入ビジネスを始める手順
個人で輸入ビジネスを始めるには、10のステップを踏む必要があります。
- 取り扱う商品を発掘する
- 商品の仕入れ先を探す
- 輸入してはいけない商品でないかチェックをする
- 商品を発注する
- 配送手段を決める
- 税関と通関手続きを行う
- 販売をする
- 開業届を用意する
- 銀行口座、クレジットカードを用意する
- 保険に加入しておく
それぞれ詳細をご紹介します。
1. 商品の発掘
個人輸入で成功するためには、まず売れる商品を選ぶことが重要です。そこで、次の3つをチェックします。
- 日本ではあまり売られていない商品を見つける
- ニーズが高い商品を見つける
- トレンド分析ツールやニュースなどを活用して、最新の流行をおさえる。
3つの条件を押さえた商品をリサーチするには、次の2つの方法が有効です。
それぞれを詳細に説明します。
1.1 インターネットでリサーチする方法
輸入ビジネスの初心者がインターネットで売れやすい商品を探すときには、Amazonやヤフオク、オークファンが便利です。
例えば、Amazonの場合、日本ではあまり売れていない商品を見つけるときには、検索画面で次のようなキーワードで商品を探すと、効率よく商品を見つけられます。
- 日本未入荷
- 日本未発売
- 海外限定品
- US限定
1,000件以上のアイテムがあり、興味のある商材を探します。また、ヤフオクで探す方法もあります。
そして、利益が出せる商品を見つけるためには、以下の点に注意する必要があります。
- 商品単価 商品単価が高ければ高いほど、利益が出やすくなります。
- 送料 送料は商品価格に影響するため、できるだけ安い送料で仕入れます。
- 関税: 関税は商品価格の約40%と高いため、関税がかからない商品を選ぶか、関税を節約する方法を検討する必要があります。
相場や販売需要をリサーチするときは、オークファンというツールが便利です。
Amazonランキングなどを利用して、売れ筋商品を探す方法があります。詳細は別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ Amazonランキングなど7つの情報源!売れ筋の商品と相場の調べ方
1.2 展示会や見本市
実際に商品を手に取って探したい場合は、展示会や見本市は便利です。興味のあるジャンルを決めて行きます。
展示会や見本市を探すときには、ジェトロの見本市・展示会データベースが便利です。
世界で1,615の見本市や展示会の情報が掲載されており、アジア、アメリカ、ヨーロッパといった地域別のカテゴリや、生活、医療・サービス、サービスなどのジャンル別で紹介されています。
世界の見本市・展示会情報(JETRO)
2. 商品の仕入れ先
展示会や見本市で売りたい商品を見つけた場合には、その取引先と商談を進めます。ただ、海外の展示会に行くには、費用と手間がかかります。
一方、インターネットで商品を仕入れるのは、自宅にいながら始められます。そのため、輸入ビジネスの初心者にとって、始めやすい方法です。
そして、海外で仕入れて日本で売るために商材を探すには、海外の大手Webサイトが便利です。特に、人気の仕入れ先は3つあります。
それぞれを詳細にご紹介します。
2.1 eBay
eBayは世界最大のネットオークションサイトです。世界中で1.8億人が商品を購入しており、出品数は12億点と膨大な商材を取り扱っています。
なお、商品の説明などは英語ですが、Google翻訳などを使うことで比較的簡単に買えます。
2.2 Amazon.com
Amazon.comは、世界最大級のECサイトです。日本のamazonと違い、世界中の商品を取り扱っています。なお、アメリカのAmazonで商品を買うときには、日本とは別にアカウントを発行するほうが便利です。
2.3 タオバオ
タオバオは、アリババが設立したECサイトです。中国国内におけるEC市場の取引総額の80%を
超えています。サイトは中国語で表記されているので、翻訳ツールなどを使う必要があります。
なお、転売におすすめの仕入れサイトは別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ 転売におすすめの仕入れサイト12選!海外・中国輸入転売など
3 輸入してはいけない商品
取り扱いたい商品や仕入れ先をリストアップできたら、輸入してはいけない商品ではないかをチェックします。
たとえば、薬事法に絡むものは輸入の免許を持っていない人は輸入できません。また、医療関連の商材は許認可が必要なので、避けた方が無難です。
◆ 主な輸入禁止品目
- 麻薬、向精神薬、大麻、あへん、けしがら、覚せい剤、あへん吸煙具
- 指定薬物(医療等の用途に供するために輸入するものを除く。)
- けん銃、小銃、機関銃、砲、これらの銃砲弾及びけん銃部品
- 爆発物
- 火薬類
- 化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律第2条第3項に規定する特定物質
- 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第6条第20項に規定する一種病原体等及び同条第21項に規定する二種病原体等
- 貨幣、紙幣、銀行券、印紙、郵便切手又は有価証券の偽造品、変造品、模造品及び偽造カード(生カードを含む)
- 公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品
- 児童ポルノ
医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器等は、医薬品医療機器等法の規定により、厚生労働大臣の輸入販売業の許可を受けた者でなければ、輸入してはならないことになっています。
【出典】 医薬品・化粧品等の個人輸入について
ほかにも、食品全般は食品衛生法、家電製品は家電用品安全法などの法令があるため、事前に確認が必要です。
【出典】 一般財団法人 対日貿易投資交流促進協会 小口輸入ビジネス入門 P3
4. 発注
取り扱ってみたい商品を見つけたら、商談を進めます。商談を進めるにあたり、以下の3点を確認します。
- 日本へ輸出の可否
- 最低の注文数
- 見積り(価格、送料、保険料、梱包費用、送金手数料など)
そのうえで、問題がなければ発注します。発注をするときには、以下の6点を記載します。
- 注文者の氏名、連絡先
- 発注先
- 発注年月日
- 商品番号、数量、単価、金額など
- 輸送方法、納期、送料
- 保険料、手数料、 決済方法
商談をメールでやり取りをするときには、ミプロ(一般財団法人 対日貿易投資交流促進協会)が公開している例文集が便利です。
問合せやサンプルの送付、取引条件のすり合わせや発注、商品の到着、クレームなどのシーン別に例文があります。
また、ショッピングサイトで商品を買うときには、日本のインターネットショッピングと同様の手続きで商品を買います。例えば、eBayの場合では、次のような手順になります。
- 商品を探す
- 説明文をチェックする
- 日本までの送料を確認する
- 入札する
- 落札されたら、落札の通知がメールで届く
- PayPalで支払いをする
- 商品が届く
◆ eBayの商品購入画面
5. 商品の発送
商品を日本国内に輸入する方法としては、代表的なサービスは5つあります。
種類 | 配送サービス | 日数 | 料金 | 補償 |
国際郵便 | EMS(日本郵便) | 短い | 安い | あり |
USPS(アメリカの郵便公社) | 長い | 高い | なし | |
国際宅配便 | DHL | 短い | 高い | あり |
FedEx | 短い | 高い | あり | |
UPS | 短い | 高い | あり |
どのサービスを選ぶときには、送料や到着までの日数、補償の有無などを確認します。
なお、日本に直送してくれない場合には、転送業者を利用すると便利です。ショッピングサイトで買った商品を、転送業者の倉庫に送ります。
転送業者に荷物が届いたら通知が来るので、配送を指示します。アメリかや中国、タイなどの転送業者をご紹介します。
◆ 代表的な転送業者
- MyUS(アメリカ): 英語のみの対応となります
- Shipito(アメリカ): 日本語のホームページがあります
- ALICE HOUSE(アメリカ): スタッフが日本人で、問い合わせも日本語で対応
- イーウーパスポート (中国): タオバオからの転送業者
- バンコクパスポート (タイ): 日本語でサポートしてくれます
たとえば、Shipitoの場合は、ユーザー登録をすることで、米国で専用の住所(赤枠)を持てます。その住所宛に商品を送ることで、日本に転送してくれます。
なお、Shipito の良い評判をまとめると、送料が安い点が評価されています。
連続でshipitoネタでゴメン
送料結構安いかも?#MyUS代替え案https://t.co/qaOQoLEroh pic.twitter.com/Ylk677NloL— まこち@【物販】欧米輸入 (@Makochi_bp) March 17, 2022
一方、特に悪い評判は見当たりませんでした。
なお、商品の配送方法について詳細を確認したい場合には、ミプロ(一般財団法人 対日貿易投資交流促進協会)の資料が参考になります。
なお、個人輸入の代行サイトを別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ 個人輸入代行サイトおすすめ11選!アメリカ、ヨーロッパ、中国、韓国
6. 税関と通関手続
海外から日本に商品を持ち込む場合、輸入とみなされます。そのため、商品を国内で引き取るためには、輸入申告の処理を行う必要があります。
【出典】 税関ホームページ 輸入通関手続きの概要
なお、国際郵便に場合には、貨物の到着から貨物の引き取りまでの流れは次の通りとなります。
【出典】 ミプロ(一般財団法人 対日貿易投資交流促進協会)小口輸入の手続き P6
課税価格の総額が20万円以下の荷物であれば、自分で申告することなく、郵便局や運送会社が手続きを代行してくれます。
そして、関税や通関手数料などが発生した場合でも、荷物の配達をしてくれた配達員あるいは銀行、郵便局で支払います。
詳細は税関のホームページにも記載してあるので、ぜひご覧ください。
ミプロ(一般財団法人 対日貿易投資交流促進協会)小口輸入の手続き
7. 販売
輸入した商品を日本国内で販売するときには、3つの方法があります。
- 実店舗で販売する
- ネットショップで販売する
- オークションサイトで販売する
実店舗で販売する場合には、店舗の賃貸料や運営費など多額の費用が必要となります。そのため、個人で輸入販売を始めるときには、ネットショップやオークションサイトを利用するほうがリスクを抑えられます。
なお、ネットショップやオークションサイトで売る場合には、それぞれ客層が異なるので、どの売り方がいいか、サイトを見てチェックします。
◆おすすめのネットショップやオークションサイト
- 楽天市場 : ページビュー数は約33億PVと圧倒的な集客力です
- Amazon : 月額4,900円で出店できます
- ヤフオク : 日本最大のオークションサイトです
- makeshop : クレジットカードの決済手数料が3.14%~と安いです
- BASE : 無料でネットショップを作れます
- STORES : 無料でネットショップを作れます
- カラーミーショップ : 無料で本格的なネットショップを作れます
それぞれの特徴は別記事でまとめています。
【参考記事】・ ネットショップの比較!比較表付き!集客力、機能、手数料で比べる
8. 開業届
個人事業主として開業する場合には、開業届を税務署に提出する必要があります。
A4 1枚の書類で記載する項目もそれほど多くないので、お住まいの住所を管轄する税務署に行って、その場で提出できます。
なお、税務署で提出したときに、その場で提出日付の記載した受領印が押された控えをもらえます。この開業届の控えは、銀行で屋号入りの口座を作るときに使います。そのため、忘れずに保管しておきます。
なお、開業届は国税庁のホームページでダウンロードできるので、入手しておきます。
また、開業届を自動で作成するツールもあります。
会計ソフトのfreeeが提供する開業届を無料で作れるサービスです。開業に必要な一連の書類が一括で作れます。
また、開業届の書き方は別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ 個人事業主の開業届の入手方法、提出先、期限(いつまで)、費用
9. 支払い手段
日本から海外への支払い方法としては、3つの方法があります。
- クレジットカード
- ゆうちょ銀行の国際送金
- 銀行経由の電信送金
海外のWebサイトを利用した支払いのときには、クレジットカードが便利です。
なお、商品を仕入れるときには利用枠の上限を超えてしまう場合もあるため、複数のクレジットカードを用意しておきます。
クレジットカードのなかには、還元率の高いカードや、審査が比較的緩いカードなどがあります。そのため、いくつかのカード会社の情報を比較し、検討すると有効です。
また、国際送金を行うために、銀行口座を準備しておきます。海外送金をするときは、手数料を考慮に入れる必要があります。
(例)みずほ銀行の海外送金
【出典】 みずほ銀行の海外送金の手数料
(例)三菱UFJ銀行の海外送金
【出典】 三菱UFJ銀行海外送金の手数料
一方、海外送金の手数料を抑えられる銀行もあります。
◆ GMOあおぞらネット銀行
GMOあおぞらネット銀行が提供するインターネットバンキングサービスです。一般的な海外送金はSwiftによる送金なため、 複数の中継銀行を挟むためコストが高くなります。
GMOあおぞらネット銀行の海外送金の場合は、 Wise 社独自のプラットフォームを利用するため、中継銀行を挟まないで送金でき、為替コストを削減できます。
また、中継銀行を挟まないため、着金のスピードも速くなります。
10. 保険
商品を輸入するときには、PL保険(生産物賠償責任保険)に入っておくと安心できます。
PL保険は、製品に欠陥があれば製造業者等は賠償責任を問われるという内容ですが、輸入品の場合には輸入者が責任を問われます。
そのため、輸入した商品で何らかのトラブルが生じたばあいには、損害賠償をしなくてはなりません。そこで、万一に備えて、PL保険に加入しておいたほうが安心して事業を行えます。
日本国内では次のような会社で取り扱っています。
まとめ
本記事は、個人で輸入ビジネスを始める手順や、起業、輸入販売の仕方をご紹介しました。おさらいをすると、次の10のステップを押さえます。
- 取り扱う商品を発掘する
- 商品の仕入れ先を探す
- 輸入してはいけない商品でないかチェックをする
- 商品を発注する
- 配送手段を決める
- 税関と通関手続きを行う
- 販売をする
- 開業届を用意する
- 銀行口座、クレジットカードを用意する
- 保険に加入しておく
なお、輸入の代行業者に関する情報は、別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ 個人輸入代行サイトおすすめ10選!アメリカ、ヨーロッパ、中国、韓国
また、起業に関する情報は別記事でまとめています。
【参考記事】・ 起業前のチェックリスト! 絶対に準備しておきたい14のこと
・ 自営業の経理!ゼロから始める確定申告までの10の作業と便利ソフト
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Writer/編集者: 松田康