個人事業主が開業届けを出すときには、様々な書類を出す必要があります。また、開業届はどこでもらえばいいのでしょうか。
そこで、個人事業主が開業したときに提出する8つの書類の内容、提出のタイミング、書類の入手方法や提出先をまとめてみました。なお、開業届けを無料で簡単に作れるサービスもあります。
本記事は、開業届けの提出先、提出期限、開業届けを作る便利なツールをご紹介します。
【参考文献】カラー版 マンガでわかる 個人事業の始め方
糸井俊博 (監修) 2015年
1. 個人事業主が開業時に届出する書類
個人事業主が開業したときに提出する書類を一覧にしました。1、2の届け出は必須です。
一方、3以降は、状況に応じて提出します。
- 個人事業の開業・廃業等届出書(全員必須)
- 事業開始等申告書(全員必須)
- 所得税の青色申告承認申請書
- 青色事業専従者給与に関する届出書
- 給与支払事務所等の開設届出書
- 労働保険保険関係成立届、労働保険概算保険料申告書
- 雇用保険適用事業所設置届、雇用保険被保険者資格取得届
- 健康保険・厚生年金保険新規適用届、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
これから、各書類の概要、書類の入手先(ダウンロード先)をご紹介します。
その後、提出先、期限、提出方法を一覧でご紹介します。
1.1 個人事業の開業・廃業等届出書
◆ 提出が必要なタイミング(必須)
- 新たに事業を開始したとき(事業を開始して、1か月以内に提出)
- 事務所や店舗を新設、増設、移転、廃止したとき
- 事業を廃止したとき
◆ 目的・内容
- 税務署に事業を開始した旨、通知します
- 開業した日付けや事業の内容、納税地などを伝えます
◆ 資料の入手先(ダウンロード先)
開業届のもらい方としては、最寄りの税務署の窓口か、国税庁のホームページで入手できます。
◆ 費用
無料
1.2 事業開始等申告書
◆ 必要なタイミング(必須)
- 新たに事業を開始したとき(東京都の場合は、事業開始日から15日以内)
- 事務所や店舗を新設、増設、移転、廃止したとき
- 事業を廃止したとき
◆ 目的・内容
- 都道府県および市区町村に事業を開始した旨、通知します
- 開業した日付けや事業の内容、納税地などを伝えます
※ 「個人事業の開業・廃業等届出書」は、国税(所得税)に関する書類ですが、
「個人事業開始申告書」は、地方税(事業税・住民税)に関する書類となります。
(似た内容を二重に申告するあたり、縦割り行政を感じますね)
◆ 資料の入手先(ダウンロード先)
東京都の場合、東京都主税局のホームページ
( 書式は各自治体によって異なるので、確認が必要です。)
1.3 所得税の青色申告承認申請書
◆ 必要なタイミング(任意)
- 所得税の申告方法を青色申告に変更するとき
- 開業の日から2か月以内に、税務署に提出(1月1日~1月15日に開業した場合は、3月15日まで)
◆ 目的・内容
- 青色申告で所得税を申告することを承認してもらうために提出します。
◆ 資料の入手先(ダウンロード先)
※ 青色申告の始め方については別記事でまとめています。ご覧ください。
【参考記事】 ・ 自営業の経理!ゼロから始める確定申告までの13の作業と知識
1.4 青色事業専従者給与に関する届出書
◆ 必要なタイミング(任意)
- 家族を従業員にするとき(青色事業専従者給与額を必要経費に算入したいとき)
- 専従者が働き始めてから2か月以内(1月1日~1月15日に働き始めた場合は、3月15日まで)
◆ 目的・内容
- 青色事業専従者として承認してもらうため(給与が経費として認めてもらうため)
- 仕事内容や給料、賞与の支給額などを報告します
◆ 資料の入手先(ダウンロード先)
1.5 給与支払事務所等の開設届出書
◆ 必要なタイミング(任意)
- 従業員(パート含む)を雇用したとき。
- 従業員を雇うようになった日から1か月以内に提出。
- 青色事業専従者に給与の支払いを始めるとき
※ 「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する場合には、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」の提出を省けます。詳細は国税庁のホームページをご覧ください。
◆ 目的・内容
- 給与支払事務所になったことを届け出るため
◆ 資料の入手先(ダウンロード先)
1.6 労働保険保険関係成立届、労働保険概算保険料申告書
◆ 必要なタイミング(任意)
- 従業員(パート含む)を雇用したとき
◆ 目的・内容
- 労働保険とは、労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険を総称した言葉です
- 労働保険は労働者を一人でも雇っている場合には、労働保険料を納付する必要があります
- 従業員を雇い、労働保険料を納める義務が生じた旨、所轄の労働基準監督署に届けます
◆ 参考となるホームページ
1.7 雇用保険適用事業所設置届、雇用保険被保険者資格取得届
◆ 必要なタイミング(任意)
- 従業員(パート含む)を雇用したとき
※ パートは、31日以上雇用の見込みがあり、1週間の労働時間が20時間以上の場合
◆ 目的・内容
- 従業員を雇用保険に加入させる届け出
◆ 参考となるホームページ
1.8 健康保険・厚生年金保険新規適用届、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
◆ 必要なタイミング(任意)
- 常時5人以上の従業員が働いている場合
※ただし、5人以上の個人事業所であってもサービス業の一部(クリーニング業、飲食店、ビル清掃業等)や農業、漁業等は、その限りではありません。
◆ 目的・内容
- 従業員を社会保険に加入させる届け出
◆ 参考となるホームページ
2. 個人事業主が開業時に届出する書類の期日と提出先
個人事業主が開業時に届出する書類の期日と提出先を一覧にします。
忘れずに提出をしてください。
書類 | 期限 | 提出先 | 提出方法 |
個人事業の開業・廃業等届出書 | 開業日から1か月以内 | 税務署 | 持参・郵送 |
事業開始等申告書 | 開業日から1か月以内(*1) | 都道府県税事務所および市区町村役場 | 持参・郵送 |
所得税の青色申告承認申請書 | 開業日から2か月以内(*2) | 税務署 | 持参・郵送 |
青色事業専従者給与に関する届出書 | 開業日から2か月以内(*2) | 税務署 | 持参・郵送 |
給与支払事務所等の開設届出書 | 従業員を雇用した日から1か月以内 | 税務署 | 持参・郵送 |
労働保険保険関係成立届 労働保険概算保険料申告書 |
従業員を雇用した日から10日以内 | 労働基準監督署 | ー |
健康保険・厚生年金保険新規適用届 | 従業員が5人以上になった日から5日以内 | 年金事務所 | 持参・郵送・電子申請 |
*1:自治体によって差があります。東京都は15日以内です。
*2:事業を開始した最初の年に申告する場合は、開業した日から2か月以内。
事業開始から2年目以降に申告する場合は、その年の3月15日まで
*3:開業した最初の年であれば、開業した日から2か月以内。
開業して2年目以降は青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで。
3. 開業届を作れるツール(無料)
個人事業主が開業するときに必要な書類をご紹介しました。ご覧の通り、同じような情報を何度も各種書類に入力するのが手間と感じる方も多いと思います。
その場合には、必要な情報を一度入力するだけで、開業届けに必要な一連の書類を、無料で作ってくれる便利なツールもあります。
◆ 開業freee
会計ソフトのfreeeが提供するサービスで、以下の書類を無料で自動で作れます。
- 個人事業の開業・移転・廃業等届出書
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃業等届出書
- 所得税の青色申告承認申請書
- 青色専従者給与に関する届出書
まとめ
本記事は、開業届の必要書類、ならびに、いつ、どこに、どうやって提出するのか、その出し方を紹介しました。
なお、開業時にすべきこと、開業費用の節約方法などを別記事でまとめています。
【参考記事】・ 起業前のチェックリスト! 絶対に準備しておきたい14のこと
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Writer/編集者: 松田康