会社員からフリーランスとして独立開業するには、どのような準備が必要でしょうか。
サラリーマンを辞めてフリーランスとして独立するためには、健康保険や年金の切り替えや、開業届や税務申告などの手続きを自力で行う必要があります。
さらに、ホームページや名刺などのツールも準備したいところです。そこで、フリーランスとして独立する前に、会社員のうちに知っておきたいポイントをまとめました。
本記事は、会社員からフリーランスになる前に準備したい7つのことをご紹介します。
1 健康保険
会社員を退職をすると、会社の健康保険証を使う資格を失います。そのため、万一病気やケガをした場合には、これまでの保険証で治療を受け取られません。
しかし、日本に住む私たちは、公的な医療保険に加入する必要があります。
そこで、フリーランスの方は、住民票のある市区町村の国民健康保険に加入すれば、退職後の病気やケガの治療を、この保険で行えます。
対象者 | 会社員 | フリーランス |
保険者 | 健康保険組合 | 国民健康保険 |
加入者数 | 2,946万人 | 3,013万人 |
治療費の自己負担 | 3割 | 3割 |
休業補償 | 給与の最大60%を最大1年6か月支給 | なし |
【出典】 厚生労働省ホームページ 公的医療保険の給付内容 P7
なお、国民健康保険に加入するためには、健康保険資格喪失証明書を入手する必要があります。 そのため、退社をする前に忘れずに受領します。
◆ 退職日に会社から受け取る書類
- 健康保険資格喪失証明書
【出典】 相模原市役所 【国保・資格】国民健康保険の加入方法について
2 年金
日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、原則、国民年金への加入が義務付けられています。
これまで、厚生年金に加入していた会社員のときは、厚生年金と国民年金に加入していました。会社員を辞めて、フリーランスとして開業する場合、年金は厚生年金から国民年金に変わります。
会社員 | フリーランス | |
加入する制度 | 国民年金と厚生年金保険 | 国民年金 |
届出方法 | 会社が、届出 | 各自が市(区)役所、町村役場に届出 |
保険料の納付方法 | 会社が、給料から天引き | 各自が、納付 |
厚生年金を辞める手続きは会社がしてくれますが、国民年金への加入手続きは、退職者本人が行う必要があります。
なお、国民年金に加入するためには、年金手帳や退職証明書が必要となります。そのため、退職するタイミングに受け取ります。
【出典】 小平市ホームページ 退職したときの国民年金の手続きについて知りたい
◆ 退職日に会社から受け取る書類
- 年金手帳
- 退職証明書
なお、妻が扶養者であれば、夫の退職後は自分で保険料を支払う必要があるため、国民年金への加入が必要となります。
3 税金
会社員にときは、給与から自動的に、税金が天引きされているため、税金を意識する必要がありません。しかし、フリーランスになると、所得税や住民税の支払いは自力で行う必要があります。
まず、個人の所得税や住民税は、その年の1月から12月までの1年間の所得に対して支払いが必要となります。 そのため、1年間で個人として稼いだ金額を計算して、経費や各種控除を差し引いて、税額を計算する必要があります。
◆ 経費の例
- 外注費: 外部に仕事を発注した費用
- 賃借料: 仕事場を借りている場合の家賃
- 水道光熱費: 仕事場での費用。自宅で仕事をしている場合は、その割合に応じて計上
- 通信費: インターネット、電話などの費用
- 福利厚生費: お茶代、研修会などの費用
- 旅費交通費: 出張や事務所などの通勤費
- 交際費: 打合せや接待費
- 消耗品費: 事務用品代など
- 宣伝広告費: 名刺、チラシなどの費用
そして、年度の途中で退職をした人は、会社から源泉徴収票を受け取る必要があります。そして、源泉徴収票の金額と、 独立した後の収入を合算して、確定申告を行う必要があります。
◆ 会社から受け取る書類(後日、会社から郵送)
- 源泉徴収票
なお、個人事業主の確定申告の進め方については、別記事でまとめています。
【参考記事】 自営業の経理!ゼロから始める確定申告までの10の作業と便利ソフト【2019年】
4 開業届
フリーランスとして独立したら、税務署で開業届を提出する必要があります。書類は税務署にあり、国税庁のホームページから入手できます。
記入内容は、納税地、氏名、生年月日、職業、屋号などを記入します。提出先は、事業を開始する所在地の管轄の税務署です。
なお、管轄の税務署を知りたいときには、国税庁のホームページで郵便番号で検索できます。
新しく事業を開始した時から1か月以内に提出する必要があります。 なお、開業届の書き方や提出先などは別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ 個人事業主の開業届の入手方法、提出先、期限(いつまで)、費用
5 審査が必要なモノ
フリーランスになったとたんに、社会的な信用が低くなることが多いです。
フリーランスで何年か働いて実績を積んでいる人よりも、1年でも働いている大企業の正社員のほうが住宅ローンを組むのは簡単です。
そのため、フリーランスとして独立する前に、会社員の特権を活かして、住宅ローンの申請やクレジットカードの作成などを準備しておいたほうが無難です。
◆ 審査が必要なもの
- 住宅ローン
- クレジットカード
- 引っ越し
なお、フリーランスで住宅ローンを借りるためには、収入が安定していることを融資側に伝える必要があります。そのため、一般に過去三年分の確定申告の書類(コピー)を提出し、その平均額を収入の目安とし、融資の可否が判断される場合があります。
フリーランスで独立したときに、便利なクレジットカードは別記事でまとめています。
【参考記事】・フリーランス向けのクレジットカードおすすめ12選!還元率、審査、サービス比較
6 ホームページ
フリーランスとして独立した後は、ホームページを作ります。自分の活動内容や実績などを定期的に発信することで、仕事を獲得しやすくします。
ホームページを作るためには、コンセプトやデザインを決めたり、メッセージを作ったりと時間がかかります。そこで、在職中にホームページを作っておくとスムーズに集客に繋げられます。
なお、ホームページの作り方や費用・相場などは別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ ホームページの制作・作成料金!相場と費用の内訳(料金表付き)【2019年】
◆ ホームページ作成ツール(無料)
それぞれのツールの特徴や作り方は別記事でまとめています。
【参考記事】・ Wixのメリットとデメリット!使い方、デザイン、料金、セキュリティの注意点
・ Jimdoの11のメリットと4つのデメリット!使い方やホームページの作り方
7 名刺
フリーランスとして独立したら、名刺を作る必要があります。氏名や住所、電話、FAX、メールアドレス、URLなどを記載します。
名刺を作るときには、デザイン会社に発注する方法もありますし、テンプレートを使って自作をする方法もあります。独立する段階ではお金もかけられないので、自作できるものは挑戦したいところです。
なお、自作の仕方については、別記事でまとめています。
【参考記事】 名刺のテンプレート5選!パワーポイントで簡単に作る方法!見本や印刷方法を紹介
まとめ
本記事は、会社員からフリーランスになる前に準備したい7つのことをご紹介しました。スムーズに独立するためには、まず健康保険や年金の切り替えが大事です。
さらに、開業届を提出し、確定申告の準備が必要となります。そして、独立後に仕事を獲得できるようにホームページや名刺などのツールも用意します。
なお、起業する前にチェックしたいポイントを別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ 起業前のチェックリスト! 絶対に準備しておきたい14のこと
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Writer/編集者: 松田康