移動販売で開業をするときに、どんな準備をする必要があるのでしょうか。
屋号を決めたり、開業資金を準備したり、出店場所をリサーチしたり、移動販売に必要な資格を取得する必要があります。さらに、開業届を出したり、営業ツールを準備する必要があります。
そこで、移動販売で開業する前に知っておきたいポイントをまとめました。
本記事は、移動販売で開業する前に知っておきたい8つの基礎知識をご紹介します。
移動販売で開業する手順
移動販売で開業するにあたり、押さえておきたい手順をリストアップしました。
それぞれを詳細に説明します。
1. 屋号
移動販売で開業するにあたり、屋号といわれる店名を付けたいところです。屋号があることで、個人名よりアピール力が高くなります。
屋号を付けるときのポイントは3つあります。
- 呼びやすい名前にする
- 聞き取りやすい名前にする
- 他の店名とかぶらないようにする
名前が呼びにくいと、覚えてもらえず、親しみを感じられません。なお、屋号を付けるときに、他の商標と重複がないか、チェックをしておくと無難です。
そこで、商標の情報を検索できるツールを利用して、自分の考えている屋号が商標として使われていないかを確認します。
◆ 特許情報プラットフォーム
屋号を入力して、検索ボタンを押すと、類似の商標が表示されます。
2. 売れるもの
移動販売で売れるものは、3種類あります。
種類 | 売れるもの | 売れる場所 |
ランチ・軽食 | ケバブ、ピザ、焼きそば、ホットドッグ、タコライス、ガパオ、お好み焼き、たこ焼き、唐揚げ、ソフトクリーム、クレープなど | ショッピングセンター、駅前、公園、オフィス街、イベント会場 |
喫茶 | コーヒー、タピオカドリンクなど | – |
生活必需品 | 台所用品、バス・トイレ用品、洗濯・掃除用品など | 地方都市、限界集落 |
【参考記事】 ・ 中小企業基盤機構 J-Net 業種別起業ガイド(移動販売)
なお、ランチを中心に商品を売る場合には、昼食を食べるために人が集まるオフィス街や学校などが売れやすいです。
一方、クレープやソフトクリームなどのスイーツは、行楽地、繁華街、公園やショッピングセンター、住宅展示場やフリーマーケットなどで売れやすくなります。
3. 移動販売に必要な資格
移動販売を始めるにあたり、食品衛生責任者の資格と、お店(車)に対する営業許可が必要となります。
【出典】 ・ 中小企業基盤機構 J-Net 業種別起業ガイド(移動販売)
食品衛生責任者の資格は、各都道府県、自治体による食品衛生責任者養成講習会を受講することで、取得できます。
たとえば、東京都の場合には、13箇所で開催されており、受講料1万円が必要となります。申込みの段階で希望する受講会場と受講日を選びます。
第3希望まで記入できますが、期日が近いと満員になっている場合が多いので、開業予定日を踏まえて、早めに申し込みます。
また、移動販売で食品を調理・販売をするときには、保健所による営業許可が必要となります。東京都福祉保健局のホームページでは、次のような流れで紹介されています。
【出典】 ・ 東京都福祉保健局 営業許可を取得する流れ(自動車営業)
また、水回りの給排水設備や洗浄・手洗い設備、保管のための格納設備や冷蔵設備など、移動販売車に対する基準が詳細に掲載されているので、事前に保健所などで確認します。
4. 出店場所
移動販売で商品を売るにあたり、出店場所を確保する必要があります。
1箇所で継続して販売する案もありますが、曜日によって出店する場所を変えてみたい場合には、予め3箇所くらいは出店場所をリサーチしたいところです。
そこで、移動販売を募集しているサイトなどで検索をして、営業しやすい場所を見つけます。出店する場所を探すときに、便利なサイトは3つあります。
- Nokisaki business (ショップ前・店の軒先、駅周辺や公園などのスペースが掲載)
- ネオ屋台村 (オフィス街を中心に、大学構内でも出店しています)
出店をする際に費用はかかりますが、所有者と交渉するなどの手間がなく、比較的容易に出店できます。
5. 開業資金
移動販売をはじめるため、開業費用を見積もります。大別すると次のような費用が発生します。
- 車両費: キッチンカーを購入する費用
- 什器・備品: 調理に必要な費用(焼き台、コンロ、オーブン、冷蔵庫、発電機など)
- 広告宣伝費: 看板、ポップ、のぼり、チラシ、ショップカード
日本政策金融公庫の調査月報によると、移動販売の開業費は300万円前後となっています。
【出典】 日本政策金融公庫 調査月報 P13
一方、J-NETによる調査では、移動販売に関わる費用は380万円が必要と掲載されています。
【出典】 中小企業基盤機構 J-Net 業種別起業ガイド(移動販売)
6. 事業計画書
事業計画書とは、事業に対するアイデアを第三者にもわかるように、具体的に書き表したものです。事業計画書を書くことで、自分が本当にやりたいことや、やるべきことを明確にできます。
事業計画書を書くときには、日本政策金融公庫の創業計画書が便利です。
販売商品やセールスポイント、販売のターゲット、競合する商品、必要な資金や調達方法など、事業の要素となるものを、具体的に書いていきます。
7. 開業届
移動販売として事業を開始するには、国や自治体に事業を始めることを知らせる必要があります。そのため、税務署に開業届を提出します。
開業届とは、税務署に個人事業主としての事業を開始したことを申告するための書類です。開業届に関する用紙は、最寄りの税務署あるいは、国税庁のホームページで入手できます。
開業届の提出期限は、開業から1か月です。なお、開業届けの入手方法や提出先や期限を別記事でまとめています。ぜひご覧ください。
【参考記事】 ・ 個人事業主の開業届の入手方法、提出先、期限
8. 営業ツール
移動販売で出店した場所に集客できるように、営業ツールを準備します。具体的には次のようなツールを準備します。
- 店頭看板
- POP
- ショップカード
- チラシ
- ホームページ
- ブログ
- SNS
それぞれのツールには次のような情報を掲載しておきます。
- メニュー(写真や料金)
- 出店場所
- お店の電話番号
特に、ショップカードやチラシ、ホームページ、ブログには、お店の電話番号を掲載しておくと本日出店しているかどうかの確認や、予約販売を受けることもあります。
また、出店する場所や日時が決まったら、ホームページやブログ、SNSで告知をすることで、集客につながりやすくなります。
なお、ホームページやチラシ、ショップカードの作り方は別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ 飲食店のホームページ制作費用の相場と業者の選び方
・ チラシを作成するコツ!インパクトのあるチラシの作り方!
・ ハンドメイド作家必見!ショップカード・名刺の作り方(見本付き)
まとめ
本記事は、移動販売での開業する前に必要な知識をご紹介しました。なお、起業に関する情報を別記事でまとめています。
【参考記事】・ 起業前のチェックリスト! 絶対に準備しておきたい15のこと
・ 自営業の始め方!職種や屋号の決め方、開業届、確定申告、税金などの11の知識
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Writer/編集者: 松田康