カメラマンとして独立するには、どのような準備を進めればいいのでしょうか。
ポートフォリオサイトや名刺、SNSなどの準備はもちろん、独立資金の見積もりや、開業届の提出、見積書や請求書のひな形を用意する必要があります。
そこで、カメラマンが独立する前に知っておきたいポイントをまとめました。
本記事は、カメラマンが独立・起業する手順や、営業ツールの準備、独立資金の目安、開業届の提出方法などをご紹介します。
カメラマンで独立・起業する前に準備したい12の手順
カメラマンが独立・起業するためには、次の12のポイントを押さたいところです。
- ポートフォリオサイトを作る
- SNSで情報を発信する
- ポートフォリオのブックを用意する
- 営業をする
- 名刺を作る
- 写真を売れる手段を増やす
- 独立資金を見積もる
- 見積書のひな形を作る
- 請求書のひな形を作る
- 開業届を提出する
- 確定申告の準備をする
- 独立の挨拶状を送る
それぞれを詳細にご紹介します。
1. ポートフォリオサイト
自分の作品や仕事の実績をまとめたポートフォリオサイトを作ります。プロフィールや作品のコンセプトなどを伝えるだけでなく、人物、風景、アイテム写真など、どの被写体が得意かわかりやすくしておきます。
◆ 掲載したい情報
- 名前
- 出身地
- 略歴、学歴、受賞歴
- 主な個展、グループ展
- 代表的な作品
- 仕事の実績
また、連絡先や問い合わせフォームも用意しておき、依頼を受けられるようにしておきます。
ポートフォリオサイトの作成後は、定期的に更新します。半年~1年以内の作品を掲載し、活動内容をアップデートします。なお、ポートフォリオサイトを作るのに、ツールが便利です。
◆ ポートフォリオサイトの作成ツール
- Adobe Portfolio ・・・かんたんにポートフォリオサイトを作れる
- Strikingly ・・・ スタイリッシュなデザインのサイトを作れる
- Wix ・・・ デザインを柔軟にカスタマイズできる
- Jimdo ・・・ 無料でおしゃれなポートフォリオを作れる
- Webnode ・・・ 無料でも広告を表示せずに、使える
Adobe Portofolioの場合には、TOPページから「開始」を選びます。
デザインのパターンが表示されるので、好みのデザインを選びます。
「このテーマを編集」を選びます。
ポートフォリオサイトが作られますので、作品をアップロードしていきます。
それぞれのツールの特徴は別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ Strikinglyの使い勝手と評判!使い方やテンプレート、料金を徹底解説
・ Wixのメリットとデメリット!使い方、デザイン、料金、セキュリティ
・ Jimdoの11のメリットと4つのデメリット!使い方やホームページの作り方
・ Webnodeの使い勝手と評判!便利な点と不便な点を徹底解説!
2. SNS
カメラマンとして宣伝をする方法として、インスタグラムやツイッター、Facebookなどは欠かせません。
直接、顧客先に行って、訪問をする方法が主流でしたが、打合せできる人は限られています。一方で、SNSは世界中の人がみているので、写真を公開することで、多くの方に見てもらえます。
どのSNSも無料で始められるので、費用をかけずに宣伝できます。なお、SNSで写真を掲載したときは、自分のポートフォリオにも誘導できるようにしておくと、集客がスムーズです。
◆ 主なSNS
- インスタグラム (写真に特化しており、必須のツールです)
- X(旧、ツイッター) (拡散力があり、写真展やイベントを伝えるのに便利です)
- Facebook (実名制のSNSで、安心感があります)
- Tumblr (ブログを共有できます)
- MeWee (広告のない次世代型のSNSが売りです)
3. ポートフォリオのブック
カメラマンとして営業をするときには、自分の写真をまとめたポートフォリオのブックは用意しておきたいところです。ポートフォリオを作るときのポイントは4点あります。
- ページ数が増減できるリングファイルで用意する
- サイズはB4より大きなサイズにする
- ページ数は、12~50ページ程度にする
- プリント紙は、自分の写真に合わせて、光沢紙、マット紙などから選ぶ。
また、ポートフォリオサイトと同様、プロフィールや活動実績なども掲載します。なお、営業先に応じて、ブックの内容を変えたいところです。
たとえば、スポーツ関係のお客様に、ブライダルの写真を見せても心に刺さりません。クライアントにあわせて、ジャンルにあった写真をファイリングしておきます。
4. 営業
カメラマンとして仕事を増やすためには、Webサイトを作って、受動的にお客様が来るのを待つだけでなく、仕事をしたい会社や雑誌にこちらから営業をして、積極的にチャンスの種をまきたいところです。
そこで、書店で興味のある雑誌や媒体を調べて、電話あるいはメールでアプローチします。雑誌の裏表紙などに掲載されている連絡先を控えて、リストアップします。
メールの場合の文例をご紹介します。
株式会社〇〇 ご担当者様
突然のメールを失礼します。〇〇専門のカメラマンをしている〇〇と申します。
この度は新規にお付き合いいただけるお客様を探しており、ご連絡しました。
私は主に〇〇や〇〇などのジャンルを専門にやっております。
(自己アピールを書きます。)
過去の実績としては
実績1 〇〇
過去の実績がわかるURL
実績2 〇〇
過去の実績がわかるURL
実績3 〇〇
過去の実績がわかるURL
そのほか、ご興味があればポートフォリオサイトをご覧いただければ幸いです。
(ポートフォリオサイトのURL)
ご興味がございましたら、このメールにご返信頂ければ幸いです。都内であればお打ち合わせが可能です。また、オンラインでの会議もできます。
どうぞ、よろしくお願いします。
—
名前
URL:
Email:
なお、カメラマンとお客様をマッチングするサイトもあります。無料で登録できるサイトもあり、ネット経由で仕事を受注します。
◆ ミツモア
カメラマンや依頼者とのマッチングサイトです。累計依頼件数が100万件を超えており、多数のカメラマンが登録しています。無料で登録するので、手軽に始められます。
◆ ココナラ
自分の得意やスキルを売買できるサイトで、写真撮影で1,385人の方が登録をしています。無料で、手軽に始められます。
【参考記事】 ・ カメラマンのマッチングサイトを比較!おすすめ7選(料金表付き)
5. 名刺
名刺は、出会う方に手渡しができ、名前を覚えてもらえるツールです。そのため、伝わりやすいデザインで作成します。
なお、名刺は手渡す相手によって、2種類ほど用意をすると便利です。
利用シーン | 掲載する情報 |
ビジネス | 名前、肩書、電話番号、住所、URL、メールアドレス、SNS |
カジュアル | 名前、肩書、電話番号、住所、URL、メールアドレス、SNS、略歴、活動内容 |
なお、名刺を自作したい場合には、パワーポイントで作れるテンプレートや見本を別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ 名刺のテンプレート5選!パワーポイントで簡単に作る方法!見本や印刷方法
6. 写真を売れる手段
インターネットを介して、いくつかの収入源があると安心できます。2つの方法があります
- ストックフォトに登録し、写真を売る
- 写真をTシャツやバッグなどにプリントして、オンラインショップで売る
ストックフォトは、ネットにアップロードされた写真の中から、好きな写真を購入できる仕組みです。パンフレットやチラシ、ウェブなどに使われます。
購入してもらうことで、月々わずかながら収入が入ります。そのため、独立したての場合には、収入源を増やせる点で、検討したいところです。
◆ Pixta
5,300万点の写真素材やイラストを販売しているサイトです。
日本や海外の著名なストックフォトを別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ ストックフォトサイトの比較と選び方!写真を販売して稼ぐ方法
また、自分が撮影した写真を、Tシャツやトートバッグなどにプリントして売れるサイトもあります。注文が入った時点で、制作されるため、在庫のリスクもなく、手軽に始められます。
Suzuri
画像をアップデートするだけで、Tシャツやトートバッグ、マグカップなどを制作、販売できるサイトです。
写真をアップロードするだけで、オリジナルグッズを作成、販売できるサイトを別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ オリジナルグッズを販売・作成できるサイト!おすすめ16選(アプリも紹介)
7. 独立資金
カメラマンとして独立する前に、独立する資金を用意しておく必要があります。独立行政法人中小企業基盤整備機構によると、開業で必要な費用は、185万円と言われています。
【出典】 独立行政法人中小企業基盤整備機構
なお、必要なアイテムをリストアップしてみました。金額を埋めて、見積もりを作成してみます。
分類 | アイテム | 金額 |
機材 | デジタル一眼レフカメラ | 円 |
レンズ | 円 | |
三脚 | 円 | |
ストロボ | 円 | |
パソコン | 円 | |
広告宣伝 | 名刺 | 円 |
DM | 円 | |
チラシ | 円 | |
ポートフォリオサイト | 円 | |
通信費 | インターネット回線 | 円 |
FAX | 円 | |
電話(クラウドPBX) | 円 |
なお、インターネット回線やクラウドPBX、FAXについては、別記事でまとめています。
【参考記事】・ 法人向けインターネット光回線おすすめ6選の比較!料金表付き
・ 個人向けのインターネットFAXおすすめ6選を比較!料金表付き
・ クラウドPBXおすすめ15選を比較!機能、サービス、料金で検証
8. 見積書のひな形
クライアントから見積を依頼されたときに、スムーズに見積書を提出できるように、ひな形を用意しておきます。
見積書のひな形を用意しました。
見積書を書く時のポイントは4点あります。
- 撮影料や交通費、モデル代などを含めて、見積書を作ります。
- フィルムの感材費、レタッチ作業費などを見積書に含めるかどうかは、相談をします。
- 管理をしやすいように右上に、発行日と見積書番号を記載します。
- 見積書の提出先は、クライアントの正式名称を書きます。
なお、見積書の書き方については、別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ 見積書の書き方!他社に勝つ見積書を作る方法(テンプレート付き)
9. 請求書のひな形
撮影が終わり、写真を納品したら、請求書を作成します。クライアントによっては、請求書が不要な場合もありますが、事前に確認をしておきます。
請求書のひな形を用意しました。
請求書を書く時のポイントは2点あります。
- 振込期限は、発行日の翌月末、翌々月末が多いですが、クライアント側で決まっているので事前に確認をしておきます。
- 振込先として、銀行名、支店名、口座番号、口座名義を記載します。
請求書は郵送が一般的でしたが、PDFデータで送る場合も増えています。さらに、クラウドで使える請求書管理ソフトを使うことで、かんたんに請求書を作れたり、発送までしてくれるサービスもあります。
◆ 請求書管理ソフト
それぞれのソフトの違いは、別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ 請求書のクラウドサービスを比較!5つのポイントで検証
10. 開業届
カメラマンとして独立するときには、税務署に開業届を提出します。開業届を出すことで、社会的な信用を得られたり、屋号で銀行口座を開設できたり、青色申告で確定申告を行えます。
開業届は、国税庁のホームページにも掲載されており、ダウンロードして記入します。
作成し終わったら、所轄の税務署に持参する、あるいは郵送で提出できます。所轄の税務署を知りたい場合には、次のサイトで検索をしてみてください。
なお、無料で開業届を作成できるサービスもあります。
◆ 開業freee
名前や住所、仕事の概要、事業開始の予定日、働く場所などを登録することで、自動で開業届を作ってくれます。
開業届の入手方法、提出先、期限などは別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ 個人事業主の開業届の入手方法、提出先、期限(いつまで)、費用
11. 確定申告
確定申告は、国に納めるべき所得税を算出して、確定させる手続きです。仕事で得た収入から必要経費を差し引いた所得(利益)を算出します。
確定申告にむけた作業は多く、必要となる書類(レシート、領収書、請求書など)は整理して保管しておきたいところです。なお、次のような書類は日々、ファイリングしておきます。
◆ 仕事関係の領収書・レシートの例
- 機材購入費(カメラ、レンズ、パソコン、記録メディア)
- 制作費(スタジオ代、プリント代、額装代)
- 修繕費(カメラ、パソコン、複合機の修理費)
- 交際費(クライアントへの贈答品、仕事関係の飲食代)
- 通信費(切手・はがき、電話料金、インターネット回線費用)
なお、経理の作業は、確定申告用のソフトやアプリを使うと便利です。初心者にもわかりやすく、ガイダンス機能があり、指示通りに作業をすることで、自動で確定申告書類が作れます。
◆ 確定申告ソフト
- freee (初心者向け)
- MFクラウド確定申告 (玄人向け)
- やよいの青色申告 (初年度は、無料で利用できます)
各ソフトの機能や使い方は別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ freeeと弥生会計オンラインを比較!選ぶ前に知りたい5つの違い
・ freeeとMFクラウド(マネーフォワード)を徹底比較!
・ 弥生会計とMFクラウド会計を比較!機能、料金、使いやすさを比べる!
また、白色申告で確定申告を行う場合には、別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ 白色申告のソフトを比較!おすすめのソフト3選を徹底解説
12. 独立のお知らせ
カメラマンとして独立した旨、知人やお世話になった方に、挨拶状あるいはメールを送ります。
過去に付き合いのあったお客様から仕事をもらえることもあります。そこで、これまでお世話になったことの御礼とともに、独立した旨を伝えます。
なお、挨拶状の送り方やメールの送り方については、別記事でまとめています。
【参考記事】 ・ 開業の挨拶状 ~書き方と7つの文例~
・ 開業・独立・開店の挨拶 ~メールの書き方と文例~
まとめ
本記事は、フリーランスのカメラマンとして独立する前に準備したいことをご紹介しました。なお、起業に関する情報や自営業の業務の進め方について、別記事でまとめています。
【参考記事】・ 自営業の始め方!職種や屋号の決め方、開業届、確定申告、税金などの11の知識
・ 自営業の経理!ゼロから始める確定申告までの10の作業と便利ソフト
・ 起業前のチェックリスト! 絶対に準備しておきたい15のこと
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Writer/編集者: 松田康